今までに先輩学生さんたちが構築してくれたRFアナログ受動回路の知見を
システムアップしてみたい、ということから2022年から6ポートリフレクトメータ型ベクトルネットワークアナライザ(VNA)の研究を行っております。
電通大には電波を使って色々なものをセンシングしている面白い研究が多いですが、研究室としては何が見てみたいのだろう?と考えた結果、自分たちが設計、試作した回路の応答が見てみたい、と思いました。
まずは6ポート回路とは?何から始めれば?から始まり,6ポートリフレクトメータを用いたベクトルネットワークアナライザ(VNA)を構築するには回路の設計仕様をどうするべきかを考えるところから始めました。
6ポート回路を構成する主な回路はパワーディバイダと90度ハイブリッドですが、どの程度の特性のものを設計、製作するべきかわからなかったため、回路、電磁界シミュレーションベースで必要な設計仕様を決めました。
プロジェクトリーダを学生さんにお願いし、企画から実現までわずか10カ月で研究室の学生さんたちが広帯域7ポートコリレータを用いたVNAを実現してくれました!VNAを構成する各コンポーネンツは手作りで回路を作製し,それを組み合わせてVNAを構成しています。広帯域7ポートコリレータのコア技術である広帯域90度ハイブリッドは研究室で歴代培った技術が活きています。今後の特性改善は必要なものの、自作したVNAで利得特性、位相特性を初めて観測できました!結果が得られた時はとても感動しました!
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出典:椿 葉, 牛山 太陽, 吉田 信,小野 哲, "広帯域7ポートコリレータを用いたVNAの開発に関する研究," 電子情報通信学会 総合大会 C-2C-13 , March 2025.
回路、電磁界シミュレーションベースでVNAとして精度の高い周波数特性を取得できるために必要なパワーディバイダと90度ハイブリッドについてシステムレベルで検証した結果、非常に高い設計、試作レベルが要求されることがわかってきました。今まで小野が行ってきた高周波回路設計ではなかなか自分たちで仕様をきることができなかったのですが、本研究により研究室内の回路設計部隊とのコラボレーション体制ができ、 高い目標を達成するには回路側で最大限にどのような工夫が必要か、回路の特性の限界がこのあたりにあるとわかったときにシステム側でなんとかできないか、ディジタル信号処理技術を取り入れてなんとかできないか、など各研究の相乗効果になっており、研究室全体で目標に向かって自分たちが作製した回路の周波数特性を自作のVNAで観察できる日を夢見て研究に励んでおります。